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余呉湖でのワカサギ釣り

2月6日(土) 2時起床
布団を畳んで顔を洗い亜鉛サプリを水で流し込む。そして家族が起きないよう静かに外へ出る。
立体駐車場からマイカーを出し左京区の方へ向かう。

2月5日夕方、在宅勤務時間がおわってすぐに一本の電話があった。
それは中学時代の古い友人M氏からだった。ワカサギ釣りに興味はあるかと訊ねられたので、なくはないと答えた。聞くにこの時期はワカサギ釣りが面白い。釣ってよし、揚げてよし、食ってよしの3拍子が揃っていると力説された。また彼はワカサギ釣りに関しては経験があり、彼の話によると100匹ほどは楽勝でいけるそうだ。M氏は京都で有名な料理屋の板前なのでM氏が言うなら間違いはないのだろうと思い誘いに乗ることしたのだった。
突然古い友人から連絡があるというのは昔から怪しいことが多い。大抵は訳のわからない商品を売り込んでくる。やれ「絶対に損はしないから買ってくれ」だの「このカタログはまじでやばい、何冊か持っておくとよい」だの「ねずみ講ではないがそれ風のカラクリに飛び込んでみないか」だの、どれもアホかという誘いばかりだと考えているのであるが、今回はそういうことでもなさそうなので快く返事をした次第だ。 ※古い友人からの突然の誘いにはくれぐれも用心してほしい。

M氏宅の前に着き彼を待つ。すぐに彼が降りてきた。中学校時代の彼と比べて何も変わっていなかった。少しヒゲが生えたかな?という程度の変化しか認められない。彼は挨拶もそこそこに、そこそこ大きなクーラーボックスと道具の入ったタックルボックスと40cmほどの短い竿に小さなリールがついたものを2セット、そして防寒具を納めた袋をハッチバックへと手慣れた手つきで納めていった。

我々は山中越えをかまして湖西道路をぐんぐん北上し木之本あたりで北東へ曲がっていき、長いトンネルを抜けて星空がきれいな場所へ着いた。

余呉湖だ。

時間はまだ4時半といったところだ。
周りには既にたくさんの車が止まっており車中泊よろしくといった感じで車内でみな思い思いにゴソゴソしていた。
釣り場は6時オープンとなっていたので少し仮眠でもしよういうことになり車の中で過ごした。
窓の外では隣の車のにいちゃんがハッチバックを開けて竿を用意し準備を開始していた。
いやまだ早いだろう。6時まで入場門で待っているつもりか!?と小馬鹿にしていた。

10分か20分程経っただろうか。ふと周りの車から人の気配が完全に消えていることに気づいた。
嫌な予感がして入場門までいくと全員きれいに並んでいるではないか。焦った我々はすぐに道具を持って行列に並んだ。最後尾だ。最高だ。
6時オープンと書いてあるがまだ5時過ぎだぞ、と言っていると入場門は既に開いていた。そして中にはヘッドライトを煌々とつけた猛者どもが我先にと良さそうなポイントにイスを置いて陣取り思い思いの釣りスタイルをセットアップしているではないか!
口の悪い(いい意味で)受付のおばはんに大人二人、仕掛け2つ、赤虫2つを注文して中に入る。
中に入ると言ってもすでにパンパンで奥にはいけず、絵に描いたような 密 が出来上がっていた。3密おばさんが都庁から飛んできてチェックを始めた。


密集? YES!


密接? YES!


密閉? NO !  


セーフです!


ゲートを入ってすぐの場所しか残っていなかった。そこは陸っぱりから2mそこそこの浅さそうな場所で「え?こんなとこに魚おんの?」と思われるほど陸に近い場所だった。
朝まずめと呼ばれる魚の朝食タイムが過ぎてひと段落すれば奥も空くだろう、それまではこの場所で我慢して釣ろうではないかということになり、そういうことにした。
M氏は手際良く私の分まで準備してくれたので私は小さい針に赤虫をつけてすぐそばの水の中へ落とすだけでよかった。
サビキと呼ばれる釣り方で、7本の針が1mの糸に等間隔に結えられており、糸の先端に重りが着いている。これを湖面まで下ろし、あとは竿をシャクってワカサギを誘き寄せ食わせるという寸法のようだ。
M氏は自分の分も用意ができると糸を垂らしてシャクリ始めた。赤虫は食われない限り針から外れずにいた。とても小さな針なので手袋をしていてはつけられない。
凍える寒さの中みな素手で赤虫を針にさして凍える手でリールを巻く。ふと隣の人を見ると自動糸巻きリールを使っていた。なるほどな。ズボラやな。。
と得心しているとM氏が むむ! と突然唸り糸を巻き始めた。7つある針のうち1つに7cmほどの物体がひっついていた。
「よく見ろ、これがワカサギや」と彼は鼻の下を啜りながら言った。  なるほどこれがワカサギか。そうかそうか。ふむふむ。むむむ。




なんか小さいな。。


M氏が釣ったのでこちらも指を咥えているわけにはいかない。景気よく竿をしゃくった。しゃくってしゃくってしゃくりまくった。しかし魚の食いつきがこれっぽっちも感じられない。しゃくり方に変化をつけてみたり、糸の長さを変えてみたりしたがワカサギはおろかカワハギされ釣れないのであった。
ここでバス釣りなり、海釣りであればポイント(釣り場所)を変えてみるということができるのであるがこの余呉湖においてはそれは許されない。この小さな桟橋以外では釣りは禁止とされておりその桟橋は年季の入ったおっさんで埋め尽くされているのだから。
余呉湖でのワカサギ釣り_a0251552_20005496.jpg
しばらく粘っていると足がだんだん寒くなってきた。登山用の厚手の靴下に登山靴で臨んでいるのにそれでも寒い。やはり動いていないと冷えてくる。
寒くてたまらないのと、この余呉湖の景色が結構いいじゃないかということでカメラでその辺を散策しながら撮ってみることにした。わたしは赤虫のついた糸を垂らしたまま欄干に掛けてその場を後にした。

余呉湖は琵琶湖とは完全に独立しているみたいで周りを低山に囲まれている。近くにあった観光案内板を見ると賤ヶ岳(しずがたけ)という山がありその向こうに琵琶湖があり山頂にて奥琵琶湖を一望できるということだった。賤ヶ岳には歴史があるそうなので歴史好きのためにリンクを貼っておく。一言で言うなら、その昔ここで侍たちが大いに戦ったということだ。賤ヶ岳はすぐ目の前に見えていて登ったとしても1、2時間もあれば降りてこられそうな山に見えた。登っちゃおうかな?という気持ちも一瞬よぎったが雪も積もっていたし、冬用ブーツもなければワカンもない。それに私は釣りにきているのだから山とか登っちゃいけないのである!と気持ちをリセットした。
北の方に電車が走っているのが見えたので線路まで歩きそこで朝方の澄んだ空気の中を駆け抜ける車両を写真に納めてみた。
余呉湖でのワカサギ釣り_a0251552_20005639.jpg
周りには畑が広がり収穫された後の葉菜(いや収穫前の大根か?)には霜が降りていた。
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余呉駅周辺をぶらぶらしているとM氏から電話がかかってきた。「いま魚群が我々のスポットに来ている。入れ食い状態だ。すぐに戻ってこい。」
すぐに戻りつつこんな朝っぱらの誰もいないくそ寒い地域において、こんなにも人間が集中しているのもなかなか珍しいではないか!とその光景に改めて感心する。しかもこんなコロナ禍で。
余呉湖でのワカサギ釣り_a0251552_20005599.jpg
※disclaimer 私含め皆さんきちんとマスク着用していました

竿の場所まで戻り、投げっぱなしの竿を持ち上げ糸を巻いた。ワカサギもカワハギも何も掛かっていないではないか。
M氏は私にそっと告げた。「魚群はもう他所へ行ってしまったみたいだ。」

なんということだ。写真撮影に現を抜かしている間にひとときの確変タイムを逃してしまったのだった。
M氏はその確変中に6匹を釣っていた。これで合計7匹だ。
確変が終わった後は我々のスポットは今まで以上に静かになった。釣り場から少し離れたところでは鴨や鵜などの野鳥たちが楽しそうに朝ごはんを求めて動き回っている。
鵜は勢いよく水中に潜り、ひとしきりしてワカサギを咥えて戻ってきた。たしかにこの辺りにワカサギはいるのだ。ただし我々のスポットにはいないのだ。
他の釣り人はそれなりに釣っているようなので、陽も昇り明るくなっていたので偵察に行ってみることにした。
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おおお、生簀にたくさんのワカサギが!
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おおお、いるいる! 釣れているではないか。

そうなのだ。やはり桟橋の奥の方では景気よくワカサギが釣れているのだ。
特に桟橋奥の一箇所では真の入れ食いが起きていた。その場所を確保したおっさん連中は頬を赤らめながら竿垂れ、ワカサギを釣り上げ、赤虫をつけ、竿を垂れる、釣り上げる、という所業をロボットのように永遠と繰り返している。
皆我々と同じように短い竿であったなら、これはもうこのおっさんの一人勝ちということになるわけだが、なんと長い竿を使うおっさんもおり、遠くの方からその入れ食いスポットめがけて「えいやー!」と投げ入れ、入れ食いのおっさんと同じように景気よくワカサギを釣り上げていた。

ワカサギはどうして一箇所に固まっているのか、なぜそこでガンガン同胞が釣り上げられているのに黙ってそこでジッとしているのか理解ができない。
考えられることはただ2つ。
  1. 強力な磁場発生装置をおっさんがそこに沈めて、ワカサギがその外へ逃げられないようにしている。
  2. 大金を摑まされた人間が潜水しておりおっさんの針にワカサギを引っ掛けている。

私とM氏はただただ愚痴を言ったり、何か良いアイデアはないかと話をした。気がつくと入場門近くに陣取った全ての人が絶望の渦中にあり、あるものは熟睡し、あるものは煽り運転の実体験ついて仲間と笑いながら話し合っていた。そうなのだ。我々の魚を釣りたいという熱い思い(という名の糸)は切れていたのだ。縦の糸然り、横の糸然り。

ここでおもむろに投げ網をぶん投げて一網打尽にワカサギを取り尽くせたらどんなに気持ちが良いだろう。と何度も考えた。
我々のスポットはあまりにも分がわるい。しかも悲しいことに、入場待ちしていた人が口の悪いおばはんと交渉の末に中に入れてもらえたりするのだが、その際我々よりさらに陸に近いところを案内するならまだしも、我々よりも奥の方へ釣れていき、先陣の陣地を押し広げさせて座らせていたのだ。
おばはんそれはないやろう(悲哀)。

30分おきに場内のスポットをローテーションしてくれるようなルールでもあればいいのだが奥の方は一向に空く気配がないので、11時を前に我々は竿を収めて撤収した。




PS: あまりにも釣れないのでマイカーに乗って1周約6.5Kmの余呉湖をドライブしてみた。土曜日なのに人も車も少なくて静かで気持ちの良い場所でした。
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また今度春・夏の季節に遊びに行きたいなと思います。



by yosukie | 2021-02-07 22:06 | 遠出 | Comments(0)